海外事情
ウッズホール海洋研究所と在外研究員受入れ機関を訪問
企画部 堀田平
Hitoshi HOTTA
1. はじめに
平成8年5月19日から26日にかけて、林前総務担当理事の随行として、北沢企画部特別参事とともに執筆者は米国・ウッズホール海洋研究所を訪問し、彼我両機関の連営とりわけ予算管理ならびに研究評価等について意見を交換した。また、在外研究員が滞在しているカナダ・ノバスコシア州・ハリファックスのダルハウジイ大学、ベドフォード海洋研究所及びブリティシュコロンビア州・シドニーの海洋科学研究所等を訪問し研究環境の視察を行ったので、これらの概要について報告する。なお、執筆者の本訪問に係わる経費は、日本財団からの補助金によるものである。
2.ウッズホール海洋研究所訪問
(1)訪問の目的
ウッズホール海洋研究所(Woods Hole Oceano−graphic Institution:WHOI)は、1930年にカーネギー財団からの資金をもとに設立された海洋科学技術の研究所であり、現在は、約950名の人員、年間手真85百万ドル(1996年)で連営されている「民間」の研究所である。当研究所は、これまでの実績や研究活動の優秀さなどの点がら、毎年科学に関する世界でも最大級かつ最先端の研究所であると、多くの人々に認識されていると思われる。海洋科学技術センターにおいても、設立当時から研究者間の交流が活発に行われており、平成3年11月に機関間協力協定を締結(改訂)し、現在では本協定に基づき11件の課題について研究協力を実施している。平成6年夏には、この研究協力の一環として、「よこすか」「しんかい6500」を用いた大西洋中央海嶺における潜航調査(MODE'94)を実施し、極めて有意義な研究成果をあげるとともに、両機関間の相互理解と交流が一層深まることにも多大な貢献をしたことが今でも執筆者の記憶に新しい。この度の訪問の目的は、両機関における予算の状況ならびに我が国における科学技術予算及び財政全般について意見を交換し、戸算策定の方針と過程及び予算管理等について理解を深めるとともに、研究・人事管理、管理部門の人材交流等に関する意見交換を行い、今後の両機関間のより円滑な交流の推進に寄与することである。これまでにも当研究所には当センターから多くの役職員が訪問し、様々な視点からの報告がなされているが、研究機関の連帯という視点からの報告はあまりなされていない。本稿においては、WHOIの運営とりわけ手真管理ならびに研究評価について概要を報告する。
(2)意見交換概要
平成8年5月20日、林総務担当理事、北沢特別参事及び執筆者は、WHOIの副所長の事務棟であるBell House
写真-1 WHOI・ベルハウスの庭にて。左より、北沢特別参事、Luyten副所長、Gagoslan所長、林理事、本庄主席研究員、執筆者
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